2013年度入社
専攻/理工学部 応用化学科
東南アジアを中心にした新規海外案件の組成や、受注後のプロジェクトマネジメント業務をおこなっています。新規海外案件の組成では、海外のお客様の所へ赴き、お客様の求める車両仕様の確認といった市場調査および信頼関係の構築など、受注に向けた営業活動が主な仕事となります。また、InnoTransという国際鉄道見本市にも出展し、当社のPRを行っています。InnoTransでは当社の製品や技術だけでなく、JR東日本のグループ会社としての強みである、車両の設計・製造から導入、アフターフォローまで、高度な技術力をまとめて提供できることをアピールしています。
マネジメント業務は幅広く、進捗管理にとどまりません。商務的な内容から車両仕様に関する説明まで、あらゆる件名でお客さまと会社を結ぶ窓口となってプロジェクトを前に動かすのが役割です。
鉄道案件は予算規模的に国家プロジェクトとなる傾向があり、自ずと現地の期待は非常に大きくなります。交通インフラが未成熟な東南アジアなどの開発途上国では車とバイク以外の移動手段がないため、交通渋滞が非常に問題になっています。現地の住民はどこへ移動するにしてもその都度、不便を感じており、解決の一手として鉄道への期待値はより一層大きくなります。
しかし、我々が提供させて頂く先端技術を搭載した車両をこれから鉄道の発達を進めるお客様に対してご理解頂く為には、鉄道車両とはどの様な仕組みなのかの説明が求められ、非常に根気強さが必要です。また日本国内では一般的な事でも海外では通用しないも場面も多々あり、私自身困り果ててしまうこともあります。だからこそ互いをリスペクトできる関係を築けたとき、お客さまの理解が深まったと実感できたときはとてもうれしいものです。現地の期待に一歩近づいたと感じる瞬間ですね。
特に印象深いのは、2019年に受注したフィリピン・マニラの南北通勤鉄道プロジェクトの入札業務です。当時私は入社6年目で初めての入札業務でした。入札に関する知見も少ない中、非常にタイトなスケジュールで冷蔵庫ほどのボリュームになる膨大な書類をすべて英文で作成する必要がありました。締切り期限の直前は追込みのため帰りが遅くなってしまうこともありましたが、チームのメンバー全員が「なんとしても獲る」という気持ちを前面に出して結束し、無事応札ができた時の達成感はたまらないですね。今でも当時の仲間と集まるたびに、その思い出話で盛り上がっています。その後、2020年、2022年と続けてフィリピンの鉄道プロジェクトを受注できたのも、最初の入札でノウハウを蓄積したからこそだからかと思います。思い返すと海外への車両供給案件としてはバンコクに納めたパープルライン以来期間が空いていたので、この案件を受注できるかどうかは、今後の社会人人生において大きな分岐点となりました。
当面の目標は、J-TRECのステンレス車両ブランド『sustina』を通じて、フィリピン・マニラの期待に応えることです。現在、履行中のマニラの3プロジェクトが完了すれば、マニラの首都圏を走る車両の半数以上が『sustina』になると言われています。それに伴い、東南アジアでの知名度向上と共にフィリピンのお客様との信頼関係もより強固になると思います。この3プロジェクトはあくまでスタートなので、これからも継続的な受注を実現し、日本の首都圏の鉄道網に少しでも近づけていきたいですね。そしていずれは、世界各国にJ-TRECの車両を納めて、安全で快適で便利な生活に貢献できればと思っています。