2017年度入社
専攻/理工学部 機械・精密システム工学科
J-TRECが設計・製造した車両の走行試験を担当しています。手順としては、鉄道事業者さまの車両基地で完成車両に測定機器を設置し、実際に路線を走行してデータを収集します。基本的には新型車両で行いますが、既存車両の試験を依頼されることもあります。作業は3~5名程度のメンバーで手分けして行い、設計担当者も同乗します。その後、測定機器のデータを会社のPCに取り込んで台車や構体などの主要部材の強度、台車がレールから受ける影響をJIS規格等に準じて分析。それを報告書にまとめる、という流れになりますね。事前の打ち合わせ、機材の準備から報告書の提出までの期間は1~2カ月ほどです。
試験を依頼していただいた鉄道事業者さま、設計部門の担当者が報告書を読んで納得していただけたときが一番うれしいです。私たちの仕事は『〇か×』『白か黒』を規格等の基準に沿って判断し、その上で要因まで考察し、お伝えすることです。具体的には、データの分析を行った結果、ある区間の数値が大きいと判断した場合、その数値だけを報告するのではなく「レールからの振動を受けて、今回はこのくらいの荷重が伝わっています」と伝えます。
これはさまざまな角度から安心・安全を精査していく作業。測定のたびに異なる数値が出ることも珍しくないので、要因を突き止め、誰もが納得できる報告ができたときは大きな達成感があります。大学で習得した材料力学の知識も、あらゆる場面で役立っています。
仙台で高速車両の騒音・振動測定試験を行った時のことです。時期は製造部から技術部へ異動した直後。長期にわたる試験で夜間走行もあると聞いたときは未経験の私は足手まといになるのでは・・・と不安になりましたが、上司は「きっといい経験になるから頑張ってきなさい」と笑顔で送り出してくれました。ありがたかったのは、機材の仮設から測定、撤去まで一連の作業を余すところなく経験できたこと。作業の手順だけではなく、何のための試験なのかを知ろうとする私の度重なる質問に、先輩たちはわかりやすく丁寧に答えてくれました。おかげで測定機器の機能と試験の手順をしっかり理解できました。今、どんな試験にも臆せずに臨むことができるのは、この時の経験があるからこそ。チームのメンバーに指示を出すときも、この時の先輩たちの言動を思い出しています。
せっかくこうして走行試験を担当させてもらっているので、この分野のエキスパートを目指します。これまでは先輩たちに教わった手法や考え方を踏襲してきましたが、もっと効率的で精度の高い方法があるかもしれないという思いも常にありますので、いつかそれを見つけて人に教えられるようになりたいです。J-TRECが長年にわたって磨き続けてきた技術であり、車両の信頼性を左右する技術でもあるのでそう簡単に変えられるとは思いませんが、可能性を追求する気持ちは常に持ち続けていたいですね。