2010年度入社
専攻/機械システム工学専攻
技術解析ではコンピュータシミュレーションによる製品の開発を行っています。解析担当者にはそれぞれ専門とするジャンルがあり、私は構造解析、衝突解析という製品の強度や安全性の妥当性検証を専門としています。その他のジャンルの代表は流体解析であり、空力解析や空調解析を行っています。
設計担当者がお客さまのご要望を踏まえた設計案をCADモデルにし、そのモデルに基づいて我々解析担当者がコンピュータ上でシミュレーションモデルを作り上げ、製品がお客さまのニーズを満たしているかどうか、工業製品の規格を満足しているかなどを確認していきます。一例ですが、満員時の車両の強度や、万一の踏切事故時の乗員乗客の安全性などを一つひとつ確認していきます。シミュレーションを終え、その結果と考察、改良案を設計担当者にフィードバックするまでが解析担当者の仕事です。解析結果は設計に影響を与えるものですから、何よりも正確性を重視して解析に取り組んでいます。
印象に残っている仕事の1つに、ある新型車両における車体の強度解析があります。新しいシミュレーション技術を初めて導入し、試行錯誤しながらの解析となりましたが、これまでのシミュレーションよりも高精度なものとなり、設計担当者に大変喜ばれました。解析によってできることが増えた分、非常にボリュームの大きな仕事となりましたが、現在はアウトプットの質を維持しつつ、作業時間を短縮できる手法の検討に励んでいます。
大学で機械工学を学んでいたこともあり、その知識を活かせる交通インフラや自動車・鉄道・飛行機に関わる仕事に就きたいと考えていました。J-TRECを知ったきっかけは恩師からの紹介です。説明会に参加した時に、国内外の様々なお客さまに製品を納めていることを知り、交通インフラ業界において重要な部分を担っている会社だと思い、入社を決めました。
シミュレーションの結果がなぜそうなったのかを考察するには、幅広い工学の知識が必要です。解析担当者になってからも、大学で使うような教科書を読む機会が多々あります。理論的な部分をきちんと理解していないと、シミュレーション結果に対する裏付けができないからです。配属された当初は、設計担当者から「このシミュレーション結果を改善するには、どこを設計変更すればよいですか?」と聞かれたとき、うまく回答することができませんでしたが、経験を積んでいく中で、設計担当者に対して改良案をこちらから提案できるようになってきました。目上の設計者であっても、理論に基づく提案であれば、納得して受け入れてもらえます。設計担当者に信頼してもらい、自分のアイデアが製品に反映されることが、解析担当者としての大きなやりがいです。
コンピュータの性能は日増しに向上しており、世界的にもシミュレーション技術の進化が目覚ましく、以前よりも多くのことができるようになっています。世界水準のシミュレーション技術は、決して追いつけないレベルのものではないと考えています。設計者からもお客さまからも今後の発展を期待されている分野だと思いますし、世界で戦えるJ-TRECのシミュレーション技術と評価されるように、これからも技術力を磨いていきたいと思います。