2016年度入社
専攻/機械工学科
検査課では、車両の走行やシステムの検査、完成車両の外観の確認など、様々な検査を実施しています。私の所属している車体検査は、お客さまに納品する製品そのものを検査しますので当然見逃しは許されません。屋根上のパンタグラフの動作・取付状態の確認、床下のボルト締結状態の確認、外板のキズの有無、内装の安全面の確認など検査項目は非常に多岐に渡ります。その一つひとつに対して合否判定を行い、不具合箇所が見つかった場合は、それを関連部署と共有して修正をかけていくことになります。
検査員は合否判定して終わりというわけではなく、修正を終えるまで社内・社外の調整役としての役割も求められます。例えば、扉にキズが見つかった場合は、扉自体を交換するのか、それともサンドブラストでキズを目立たなく加工するのかを製造部門と相談しながら迅速に判断していかなければなりません。部品、材料、製造工程の把握などの知識は必要になりますが、それ以上にコミュニケーション能力や責任感が問われる仕事だと感じています。時にはお客さまや自分よりも年上の方に対して、意見を述べることが求められるので、検査員としての心構えを常にもつことが重要になると感じています。検査員のやりがいは、納品した車両が日々安全に走行していることに他なりません。これからも安全性を第一に考えながら、悔いの残らない完璧な車両製造を目指していきます。
大学で機械工学を学んでいたので、ものづくりに関係する企業で働きたいという思いがありました。日本のものづくりは世界的にも知名度がありますし、技術力も認められている企業は数多く存在すると思いますが、完成品を手掛ける企業は多くはありません。J-TRECは鉄道車両の完成品を製造する限られた会社であり、それが入社の決め手になりました。車両という誰もが1度は見たことがある製品が形になっていく過程に自分が携われることにやりがいを見出しやすいと考えました。
完成品を扱う企業だからこそ、検査課では試運転に添乗し最終確認を行う業務があります。試運転は、時にはニュースになるほど注目を集めますし、自分がその製品に携われる喜びを感じる瞬間ですが、それ以上に「完璧な車両を納品しなければ」という責任を大きく感じる時でもあります。検査課に配属されて間もない頃、ある車両の試運転中に車内パネルの凹みを見つけたことがあるのですが、試運転中という状況のため、既にJ-TRECの工場からは移動しており、数名の検査員と作業者、お客さましかいない状況の中で修正に取り組んだことがあります。停車できる場所、停車時間内に作業を終えることが可能か、修正に必要な部品・材料の手配など、関係者全員で一丸となって対応することで無事修正を終えることができました。検査員だけでは解決が難しいトラブルも、全員で協力し合い、時にはお客さまや部品メーカーも含めて団結することで乗り越えられることを実感した出来事でした。
検査員は立場上、お客さまと製造部門の間に入る場面が多いため 、様々な方から“検査員としての冷静な意見”を求められることが多いのですが、意見を述べるためには、知識面と精神面の両方を満たすことが不可欠だと考えています。「J-TREC製の車両は安全で快適」とお客さまに評価され続けるよう、検査員としては不具合を未然に防ぎ、より正確な判断ができるよう努力していきたいです。