
鉄道の未来のために
お客さま、競合メーカーと
チームを組んで世界に挑む
K.O
技術本部 開発部(国際規格化戦略)
2021年度入社
専攻/電気工学科
J-TRECを選んだ理由
完成品を手作業で作り上げていく仕事に魅力を感じた
ものづくりを仕事にしたかったので、就職活動は自動車やその部品、電装品をはじめ、さまざまな工場を見学。そのなかで自動車や鉄道車両といった完成品をつくりたいと思うようになりました。最終的にJ-TRECに決めたのは、インターンシップ当日の工場見学です。多くのロボットやマシンを導入して省人化を進めている自動車工場とは違い、J-TRECの構体、ぎ装、内装、台車といった鉄道車両を作る工程においては手作業で溶接や組立を行うケースが多いと知りました。そのため、「ものづくりの醍醐味をどこよりも強く実感できるのはこの会社だ」と思い、入社を決意したのです。

現在の仕事内容
日本の鉄道技術の高さを海外に向けて発信するために
国際規格化戦略チームはISO(国際標準化機構)に参加して国際規格(製品をつくる際の世界共通のルール)を開発する部署で、特に鉄道車両に関わる国際規格の制定に向けて活動しています。私が担当しているのは、火災防護(火災が発生したときにお客さまと乗員を保護するための規格)と車両塗装の規格の開発です。
国際規格の制定に車両メーカーが関わる目的は、日本の鉄道技術の高さを支えるJIS規格(日本の国家規格)の内容を国際規格に盛り込むことで、国内車両メーカーの海外競争力を高めること。国際規格の中にJIS規格のエッセンスが織り込まれれば、日本メーカーが海外市場で戦いやすくなり、JIS規格で製造した車両で世界の交通網の発展に一層貢献できるようになります。これらの目的を他社と共有し「チーム日本」として国際市場に働きかけているのです。
国際規格の制定にあたっては、まず国際会議で他国から提案された(日本から提案することもあります)国際規格の原案を精査するところから始まります。提案された原案の中には、日本にとって有利な部分と、そうでない部分があります。次に、国内の鉄道事業者や車両メーカーなどが参加する会議で、原案に対する修正案を議論して、日本代表としての意見をまとめます。国内会議でまとめた意見は再度国際会議に持ち寄って発信するとともに、他国の意見も聞きながら、全ての国で取り入れやすい規格になるように原案を修正していきます。最終的に合意が得られたら、国際規格として発行される、という流れになります。

やりがい、面白さを感じるとき
競合メーカーとも「チーム日本」として団結し、世界に挑む
国際会議で日本の鉄道技術をアピールする過程で最も難しいのは、意見を論理的に説明すること。海外と日本では考え方や概念がかなり異なるため、日本の意見をただ説明するだけでは納得してもらえません。そのため国内会議に参加する会社や機関が力を合わせて文献やデータを集め、国際会議に向けて日本の技術的な根拠を論理的に説明し、他国にも納得してもらえるようにしていきます。
国内会議に参加する会社にはJ-TRECの競合メーカーも名を連ねており、世界に向けて日本の技術力をアピールし、それが国際規格として制定されたからといって、当社が受注できるとは限りません。しかし、こうした地道な作業を重ねて意見を一本化し「チーム日本」として団結して世界に挑む。私はそこに大きなやりがいを感じています。社内でも設計部署をはじめ多くの人に助けてもらっているので、国際規格という大きな成果を届けることを目指して仕事をしています。

印象に残ったエピソード
700枚を超える図面をめくりながら、火災防護の意見書を作成
これまでに経験した仕事のなかで最も大きな達成感を覚えたのは、2023年の秋。火災防護規格に関する意見書を初めて作成したときです。今の部署に配属されて間もなく、経験の浅い私が一人で作成するのは困難なので車体設計の技術者に協力を要請したところ、参考資料として設計図面をいただきました。その数はなんと約700枚。さすがに驚きましたが、私はすぐに覚悟を決めてその図面の読み方を教わることから始めました。そして毎日、デスクで図面をめくりながら1か月かけて英文の意見書を作成しました。まさに悪戦苦闘の日々でしたが、他部署と連携して挑戦したことで多角的な視点で物事を捉えられるようになり、今後の仕事に役立つ人間関係も構築できました。この意見書は現在、国内会議で審議されています。規格は発行されるまでに早くて2~3年はかかりますが、大きな一歩を踏み出せたと思っています。

今後の目標
JIS規格ベースのISO規格で海外の車両製造プロジェクトの受注を実現したい
日本の鉄道技術を国際規格に盛り込むことが当面の目標です。海外向けの車両製造プロジェクトはEN規格(欧州の規格)に基づいて起案されることが多く、私たち国内メーカーは、EN規格の要求事項に対応しなければなりません。当社はこのアプローチでも成果をあげていますが、JIS規格を基に日本に有利なISO規格を開発し、最初からそのISO規格で受注できれば手間とコストを抑えてより速く、より良い鉄道車両を製造できます。世界の鉄道技術を高めるため、人々の暮らしをより便利で豊かにするため、何としてもJIS規格の内容を国際規格に盛り込みたいと考えています。そして将来的には国際規格会議のコンビーナや議長になり、国際会議の中心的な立場で国際規格の開発を引っ張る存在になりたいですね。途方もない夢のように思われるかもしれませんが、私はこれも日本の技術力を世界に認めてもらうための手段の1つと思っています。

1日のスケジュール
8:00 | 始業 | 製造現場のときと同じ時間に出社。通勤時間は1時間。 |
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8:30 | デスクワーク | 意見書作成のため、社内の文献で課題解決方法を調べる。 |
9:00 | ミーティング | 国内会議に向けた意見書を上司とブラッシュアップ。 |
11:00 | ミーティング | 他の規格(照明や衝突耐性など)の担当者と情報を共有。 |
12:00 | 昼食 | 食堂を利用することが多い。 |
13:00 | デスクワーク | 火災防護に関する規格の調査・現状把握、会議用資料の作成。 |
14:00 | 社外会議 | 上司と車両火災防護規格に関する国内会議に出席。 |
16:30 | デスクワーク | 社外会議の議事録の作成、メールチェックなど。 |
17:00 | 終業 |

オフの過ごし方
仕事終わりの楽しみはお風呂。動画を観ながらゆったりと過ごします。趣味は釣りとバイク。釣りは同期の仲間や先輩たちと三浦海岸で海釣りですね。バイクは原付で行き先を決めずに出かけています。近々、中型免許を取って250ccのバイクを購入する予定です。
※取材対象者の所属・仕事内容は取材当時のものです